「受け取った恩を循環させていく」株式会社デザイア・金 俊尚
2024.12.02
IsaI JOURNALでは、IsaI AkasakA の入居者さまや赤坂エリアに拠点を構える店舗や人物を特集し、この地の魅力を未来へと繋いでいきます。
今回は、IsaI AkasakA に入居されている 株式会社デザイア・金 俊尚〔キム ジュンサン 〕さん。
来日中の韓国人を対象に、幅広い不動産サービスを提供している株式会社デザイア。不動産市場で10年以上の経験を積んできた専門家たちが所属しており、合理的かつ良心的なサービス・事業を展開しています。
昨今の円安現象と不動産価格上昇により、日本はグローバル投資家の関心を集めている最中。同社では顧客に対して最適な投資環境を提供し、信頼できる“パートナー”としての役割を果たしてきました。
代表を務める金さんは「ゴルフ講師からキャリアがはじまった。」と言います。本取材を通して明らかになった金さんの歩んできた道のりは決して平坦ではありませんでしたが、確かに“築き上げてきたもの”がありました。
「ゴルフ」が繋いでくれたもの。
– – 早速ですが、金さんのご出身地について教えてください。
金さん:私は韓国のソウルで生まれました。大学卒業までは韓国で過ごして、働くために来日してきたんです。大学では「ゴルフ指導学科」に所属していたので、ゴルフに関しては隅から隅まで学びました。それこそ、芝のことまで笑。
入学当時は大半の人がツアープロを目指しているのですが、卒業時にツアープロになれる人はほんの一握りです。私も途中からツアープロではなく、プロに教えるゴルフ教師を目指すようになりました。当時、父親が日本で商売をしていたので、「いつか私も日本で事業をしたい。」と思っていました。それで、大学卒業後に日本でゴルフ講師として働くことにしたんです。
– – なるほど。ゴルフに興味を持たれたきっかけについても教えてください。
金さん:ゴルフに興味を持ったのは、私が高校2年生の頃です。当時、韓国の金融市場が大きく落ち込んだ時期で、国全体がどんよりした空気に包まれてしまって。そんな中、ゴルフ業界で韓国勢が大活躍したんです。その明るいニュースで、多くの国民が勇気づけられたと思います。あれ以来、韓国でゴルフをはじめる人が急増しました。私もその1人です。
想像通りかもしれませんが、ゴルフ指導学科に入学するにはそれ相当の学費が必要です。私の家系でもなんとか高い学費を払ってもらえていたのですが、ある日突然、父親が事業を畳む決断をして。それ以降、学費は私が払うことになったんです。
私は学費を稼ぐために、大学に通いながらゴルフ講師としても働きはじめました。同級生の子たちは裕福な家系の子が多かったので、私と置かれている環境だったり、マインド的には大きな違いがあったと思います。とにかく毎日必死でした。
– – 来日後はどのように活動されていったのでしょうか。
金さん:2009年に来日してから約5年間は、ゴルフ講師として活動していました。その後、不動産業界に足を踏み入れました。きっかけは私が指導していたある生徒さんが不動産会社の社長さんだったんですよ。「不動産を学んでみないか?」と声をかけてくれて。そんなご縁もあって、私のことを出迎えてくれたのですが、そこでは初めてのことばかりで。あの時は相当苦労しましたね、、。
– – 具体的にどのような苦労が待っていたのでしょうか。
金さん:当時の私は日本語が全く喋れない状態でした。日本での当たり前や常識を理解しきれていなくて。来日してからは数年経っていましたが、ゴルフ講師として働いていた時は韓国人を相手にレッスンをしていたので、日本語で話す機会があまりなかったんです。
不動産会社に入社したタイミングも4月初旬で、20代前半の新入社員と一緒に働くことになったんですよね。私は日本語もろくにできず、年齢も30を超えていたので、かなり浮いていたと思います笑。お給料も新卒一年目の平均価格だったので、休日はゴルフ講師の仕事をして、休み返上でがむしゃらに働きました。そんな生活を4年半ほど続けたと思います。
– – 当時の経験があったからこそ、今があるんですね。その後どのようにしてキャリアを築かれていったのでしょうか。
金さん:私が働いていた不動産会社は管理会社でしたが、不動産業界の仕組みを概ね理解することができて、業界自体にも興味を持ったんです。それに、ゴルフ講師を通じて多くの経営者と出会う中で、「いつか独立して誰かの役に立ちたい。」と思うようになっていきました。それで起業という選択に至ったんです。
– – 金さんのターニングポイントにはかならずゴルフが絡んでいる様に思います。そんなゴルフの魅力についても聞かせてください。
金さん:ゴルフには「正解」がありません。極論を言うと上手い下手もないんです。一打一打に向き合い、その時その場で最善を尽くすのがゴルフの醍醐味です。それに、ゴルフは人とのご縁も運んできてくれます。普通に過ごしていればなかなか出会うことができない方々とも出会える。そんな魅力もあります。私もそういった恩恵を受けてきたおかげで、ここまでやってこれたと思っています。
向かい風も「ゴルフ」で乗り切る。
– – では、事業内容について教えてください。
金さん:弊社は不動産仲介業を中心に展開しています。現状のお客様は、ターゲットにも据えている韓国人が9割を占めています。
私が起業したのは2018年なので、今年で6年目を迎えます。開業当初に比べて徐々に社員数も増えてきて、事業も安定してきた矢先に新型コロナウイルスが流行ってしまったんです。不動産業界も大打撃を受けましたね。「このままだとまずい。」と言うことで、シミュレーションゴルフ施設 を赤坂3丁目にオープンさせたんです。
– – なるほど。シミュレーションゴルフ施設について、もう少し詳しく聞かせてください。
金さん:初心者から上級者まで、全世界の約210コースが楽しめる新感覚のシミュレーションゴルフ施設になっています。韓国式スクリーンゴルフ場と、日本式ゴルフバーを兼ね合わせた東京唯一の場所です。室内なので天候にも左右されず、冷暖房も完備しています。快適な環境で、24時間365日ゴルフが楽しめるんです。
“手ぶら”で来て楽しめるように、ゴルフ用品は全てレンタル可能です。ドレスルームやシャワールームもあるので、女性の方でも使い勝手が良い施設になっています。カラオケもできたり、韓国料理のデリバリーができたりと、様々なシーンで使っていただける施設です。
私にとってのふるさと。
– – では、赤坂という地域の“イメージ”についても教えてください。
金さん:実は、私の父は赤坂で商売をしていたんです。そういったご縁もあって、私は10年以上もこの街と関わっています。なんだかんだ一番心が安らぐというか、「日本のふるさと」と呼べる街です。それに、赤坂は今後発展していく街だと思っています。ビジネス的にもチャンスが多い街なのではないでしょうか。
赤坂3丁目辺りは、韓国料理が楽しめるお店も多いんですよね。韓国人も暮らしやすい街だと思います。そういった意味では、日本人だけではなく様々な国の方々が楽しめるグローバルな街を目指すのも面白いかもしれません。
身も心も一段上げてくれる。
– – IsaIに入居を決めたきかっけについて教えてください。
金さん:IsaI に入居する前は、赤坂2丁目辺りにオフィスを構えていました。前オフィスは共用スペースがなかったので、交流が生まれるような機会や空気感もなくて笑。社員数も増えてきて「スペース的にもそろそろか。」と思い、移転を検討していた時に IsaI に出会いました。
現在、社員は8人ほどだったので、共用スペースが充実している点はとても魅力的でしたね。それに、お客さんを招く時「IsaI なら自信を持って招ける。」と思ったのも決め手の一つです。このラグジュアリーな様式が私たちの身も心も一段上げてくれます。以前に比べて社員メンバーも生き生きと働いてくれている印象です。
やりたいことは人助け。
– – 最後に、今後の展望についても教えてください。
金さん:現在は韓国人向けにサービスを展開していますが、今後はアジア、さらにはヨーロッパなど、ターゲットの幅を広げていけたらと思っています。部屋探しなど、不動産の悩みが減れば、もっと外国人が気軽に日本に来れる環境ができると思っています。私も日本に来てから、多くの方々に助けられました。
弊社がやっていることは不動産ビジネスなので、収益性が高い物件だけを取り扱ってお金儲けをすることもできるでしょう。ですが、私たちがやりたいことは「困っている人を助ける」ということなんです。私のことを助けてくれた人たちへの恩返しのつもりで、受け取った恩はバトンのようにどんどん回していきたいと思っています。
株式会社デザイア
ワーキングホリデーで来日中の韓国人から韓国企業のVIP顧客を対象に、幅広い不動産サービスを提供。不動産市場で10年以上の経験を積んできた専門家たちが所属しており、合理的かつ良心的なサービス・事業を展開している。また、初心者から上級者まで全世界の約210コースが楽しめる新感覚のシミュレーションゴルフ施設を運営している。